大会2017年度(第4報)
◇経済地理学会総会および第64回大会のお知らせ【第4報】◇
2017年度経済地理学会総会および第64回大会は下記の要領で開催されます.
◆日 程:
2017年5月26日(金)常任幹事会
27日(土)評議会,共通論題シンポジウム,懇親会
28日(日)フロンティアセッション,一般研究発表,総会,ラウンドテーブル
29日(月)エクスカーション
◆会 場:明治大学駿河台キャンパス
会場の案内図は第4報pdf版をご覧下さい.
◆常任幹事会
5月26日(金)14:00〜17:00(リバティタワー6階 第4・5会議室)
◆評議会
5月27日(土)10:30〜12:00(研究棟4階 第1会議室)
◆共通論題シンポジウム
5月27日(土)13:00~17:00(リバティタワー 1022教室)
テーマ:世界都市東京論の再考
開催趣旨:
2011年の都市再生特別措置法改正による特定都市再生緊急整備地域の創設を経て,今日,2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて,東京都心部の再開発がいっそう弾みをつけている.容積率緩和に支えられた都心再開発が進行する中で,業務系・商業系の空間利用が増大するばかりでなく,住居系の空間利用も増大し,富裕層が都心ないしその周辺地区に回帰するジェントリフィケーションがさらに進行してきた.また,東京のインナーシティでは小零細企業が集積し,コミュニティと結びついた生産活動が行われてきたが,ここにきて集積の綻びが目立ち始め,行政等によるかなり意識的な産業再生策が講じられるようになっている.インナーシティの一部では外国人社会が根付き,排外的な動きと共生のための運動がぶつかり合っている.
一方,かつて「戸建ての夢」の実現に向けて拡大していった郊外地域の一部では高齢化と人口減少に直面しつつある.郊外地域の就業機会としては,製造業の大規模事業所が相次いで撤退表明するなかで,圏央道や北関東道の沿道には,物流・貯蔵施設や外食産業等の加工施設が立ち並ぶようになり,大都市圏内帯に対する「バックヤード化」が郊外地域で進んでいるようにも見て取れる.そして,雇用の不安定化を伴った構造変化のなかで,インナーシティから郊外地域を通じて貧困世帯の増加が問題視されるようにもなっている.
政財界では世界都市格付け上の東京の地位に神経を尖らせる向きもあるが,ジョン・フリードマンやサスキア・サッセンが提起した世界都市論ないしグローバル都市論というのは,本来的には批判的概念である.世界都市としての東京の盛衰,もしくは世界都市機能を活性化させようという取り組み,経済社会の新自由主義化の中で,東京やその周辺地域の産業活動や住民生活がどのような影響を受けているのか,また,いかなる将来像が描かれるべきなのだろうか.
本学会で東京圏を中心とした大都市(圏)を対象とした共通論題シンポジウムとして,「産業構造の新展開と大都市問題」(1986年,明治大学),「大都市周辺部の構造変化:国際化の進展と産業構造の変化を踏まえて」(1987年,東京学芸大学),「世界都市論:東京」(1995年,お茶の水女子大学),「グローバル化時代の大都市:東京(圏)に焦点をあてて」(2008年,早稲田大学)などを開催してきたが,今回の共通論題シンポジウムではこれらのシンポジウムの問題意識を継承しつつ,今日の東京問題を議論してみたい.
趣旨説明:小田宏信(成蹊大学)
【基調報告】
上野淳子(桃山学院大学)「『世界都市』後の東京における空間の生産とネオリベラル化──規制緩和の果てに──」
【報告】
藤本典嗣(東洋大学)「グローバル都市システムにおける東京の地位変遷──金融面からの検証を中心に──」
近藤章夫(法政大学)「産業立地と都市再開発からみた東京の変貌」
藤塚吉浩(大阪市立大学)「東京中心部におけるグローバリゼーションとジェントリフィケーション」
座 長:阿部和俊(愛知教育大学・名誉),末吉健治(福島大学)
コメント:富樫幸一(岐阜大学),豊田哲也(徳島大学),矢部直人(首都大学)
◆懇親会 5月27日(土)18:00~20:00
リバティタワー23階 宮城・岸本ホール
参加費は一般5,000 円,学生・院生3,000 円.当日受付.
◆フロンティアセッション 5月28日(日)9:15~11:15(リバティタワー 1022教室)
9:15~10:15 鎌倉夏来(東京大学):
日系化学企業における研究開発機能の空間的分業と知識フローに関する地理学的研究
10:15~11:15 寺床幸雄(立命館大学): 社会関係資本に注目した農業・農村の持続可能性に関する地理学的研究
座 長:杉浦勝章(下関市立大学),中條曉仁(静岡大学)
◆総会 5月28日(日)11:15~12:45(リバティタワー 1022教室)
◆一般研究発表 5月28日(日)13:30~17:00
【第1会場】リバティタワー 1073教室
座長 101~103 長尾謙吉(専修大学)
104~106 佐々木 達(宮城教育大学)
101. 13:30~14:05 山本匡毅(相模女子大学):地方圏の機械工業による航空機産業への展開―山形県を事例として―
102. 14:05~14:40 久保隆行(福岡アジア都市研究所):階層的都市システムにおける地方中枢都市の序列変動―都市のグローバル化の観点からの考察―
103. 14:40~15:15 シュルンツェ・ロルフ(立命館大学):地方自治体の対内投資促進政策
104. 15:15~15:50 全 勇(東京農業大学・院):中国条件不利地域における農業経営構造の変化―中国吉林省長白朝鮮族自治県M鎮を事例に―
105. 15:50~16:25 佐藤雪丸(会員):
基地がある離島における地域経済の課題の一考察―沖縄県伊江島を事例―
106. 16:25~17:00 尹 堵鉉(東京農業大学・院):韓国の6次産業化の政策的特徴と実態―日本の6次産業化と比較して―
【第2会場】リバティタワー 1074教室
座長 201~202 𠮷田国光(金沢大学)
201. 13:30~14:05 董 喆(東京農業大学・院):中国人観光客の日本滞在中の食事と食文化の理解―団体ツアー客を中心として─
202. 14:05~14:40 新垣みのり(お茶の水女子大学・院):地域創生の要件を巡る一考察―沖縄県恩納村安富祖の女性グループによる地域資源活用の取り組みの事例から―
◆ラウンドテーブル 5月28日(日)14:45~17:00 リバティタワー 1074教室
テーマ:利根川の水問題について考える
わが国で行われてきたダム・河口堰を中心とした水資源開発,治水対策は,都市生活に不可欠なインフラストラクチュアとして,一定の安全性,安定性をもたらしたのは間違いない.しかし,その工学的手法に偏った政策,さらには,社会的前提の変更に対応できない硬直的思考・態度は,結果的に多くの悲劇を生んできた.計画目標の失敗,流域の環境破壊,水源地域の生活破壊,財政の失敗,より効果的な安全性の確保の失敗など,問題は多くの分野にまたがっている.残念ながら,政策転換は不十分なままである.本ラウンドテーブルでは,東京大都市圏の水源であり,治水政策の要となる利根川を事例にして,現実に発生している問題の確認,対案の選択肢の提出,今後に向けた河川と社会の関わり方について,積極的に意見交換をしたいと考えている.多くの方の参加と積極的な意見表明を求めたい.
オーガナイザー:伊藤達也(法政大学)
報告者:伊藤達也(法政大学):利根川の利水問題
関 良基(拓殖大学):利根川の治水問題
コメンテーター:秋山道雄(滋賀県立大学・名誉),梶原健嗣(愛国学園大学)
◆エクスカーション テーマ:東京の空間変容とディベロッパーの事業戦略
日 時:5月29日(月)
集合・解散: 9:30東京メトロ有楽町線辰巳駅・集合
16:30東京メトロ日比谷線・都営地下鉄大江戸線六本木駅・解散予定
主な見学先:辰巳(集合)→東雲キャナルコート:都市再生機構を主体とする旧三菱製鋼跡地開発→江東湾岸サテライトスマートナーサリースクール:サテライト保育園→豊洲市場・環状2号線:ゆりかもめ車中(豊洲-新橋間移動)より→新橋:昼食(一時解散/再集合)→東京メトロ銀座線で移動→赤坂アークヒルズ:森ビルによる日本初の高層複合型再開発→六本木・麻布台再開発地区:森ビルによる再開発予定地→六本木ヒルズ:森ビル本社→六本木駅(解散)
*都市再生機構より東雲キャナルコートの開発経緯について,また森ビル株式会社よりグローバル企業の誘致と再開発戦略について,それぞれ現地で説明を受ける予定です.
*巡検コースは現在検討中の箇所もあり,変更する場合があります.
*徒歩と公共交通機関での移動になります.雨天の場合も決行しますが,一部のコースに変更の可能性もありますのでご了承下さい.
案内者:箸本健二(早稲田大学),菊池慶之(島根大学)
募集定員:約30名(先着順)
参加費用:500円(資料代等),昼食代と巡検内の交通運賃は参加者の負担となります.
参加申し込み:巡検への参加は,E-mail,はがきのいずれかで,下記あてに氏名,所属,連絡先を明記の上,5月10日(水)までにお申し込み下さい.折り返し,受付とコースの詳細等について連絡します.
申込先:箸本健二
〒169-8050 東京都新宿区西早稲田1-6-1 早稲田大学教育学部
E-mail: hashimoto(at)waseda.jp
※お手数ですが(at)は@に置き換えてください.
◆要旨集
要旨ファイルを電子ファイル(pdf)化し,4月中旬をめどに経済地理学会ホームページで公開します.大会参加者はそれをダウンロードし(無料),大会に持参してください.
◆大会参加費:一般1,000円,学生・院生500円
◆問い合わせ先
〒156-8502 東京都世田谷区桜丘1-1-1 東京農業大学食料環境経済学科
高柳長直
TEL. 03-5477-2371 E-mail: takayan(at)nodai.ac.jp
※お手数ですが(at)は@に置き換えてください.
◆実行委員会
実行委員長:松橋公治(明治大学)
ハード部門:藤田直晴(委員長,明治大学), 飯嶋曜子(明治大学),大城直樹(明治大学),川口太郎(明治大学),瀬川直樹(日本立地センター, 中川秀一(明治大学),中澤高志(明治大学),廣松 悟(明治大学)
ソフト部門:高柳長直(委員長,東京農業大学),伊藤達也(法政大学),小田宏信(成蹊大学),箸本健二(早稲田大学),宮地忠幸(国士舘大学)
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